【医療衛生情報】北京は「全中国医療の中心」:毎日平均70万人が受診にやって来る

【医療衛生情報】北京は「全中国医療の中心」:毎日平均70万人が受診にやって来る

深刻な「全中国医療の中心」
年平均2.2億人、毎日平均70万人の患者が北京に来て診察を受ける一方で、北京からわずか30キロの河北省の小さな町・燕郊では三甲病院の空きベッドの割合が70 %に達している。

先日行われた「週刊展望」の記者調査によると、北京には良質な医療衛生資源が集中しており、地方に住む人々が大量にやって来るため、北京の三級病院の負担が限界に達している。悪化する一方の都市の人口増加と交通の過密化はとどまることを知らず、ついには皮肉を込めて「全中国医療の中心」と呼ばれるまでになった。

一日平均70万人の患者
地方の患者が吸い寄せられるように北京に集まって来るため北京の都市人口が増大し、環境資源への影響が深刻化している。国立衛生研究計画出産委員会の統計によると、2013年時点で北京市内における三級病院の外来患者は既に3036万人、外来治療流動人口は1日平均70万人に達した。

北京児童病院の責任者によると、同院の救急診療科の毎日の急診患者は約300人に達し、医師の負担も大変なものになっているため、小児科医師を募集したがなかなか応募者がいない状況だ。2013年末時点で北京市衛生医療衛生機関の人員数は29.4万人で前年より6.3%増加したが、医療サービスの必要は更に増大している。医療機関での診療数は約2.2億人/年に達し、前年比10 . 9%増となっている。

対照的に北京と隣接する河北省では良質医療資源が不足していることから、大量の患者が北京に流出している。地方からやって来て北京で診察を受ける人たちの中では河北省在住者が一番多く約23%を占める(国家衛生計画出産委員会研究報告書調べ)が、2011~2013年における河北省の病気による転院患者数は毎年1万人以上に達し、そのほとんどは北京・天津の病院に転院した。

医療資源の不均衡と浪費が共存
河北省内の病院では医療衛生サービスの全体的なレベルの低下と専門科の減少が問題化している。2013年度の省全域での患者1000人ごとのベッド、執業(アシスタント)医師、看護師の登録数はそれぞれ4 .2床、2.1人、1.5人であったが、これは北京市の5.2床、3.7人、4.0人との比較でかなり低い数字となっている。特に医学専門医師や高レベル看護人材が不足しているため、難病患者は北京まで治療に出向かわなければならない現状だ。

「北京は医療資源の集中化と浪費という2つの問題を抱えている」と方来英氏は語る。北京の有名病院では受け付けてもらうことすら難しい一方で、特色も無く著名な専門外来も無い病院の利用数は大変少ない。ベッド使用率の不均衡は運用効率の低下を招いており、医療資源は浪費され続けている。三級病院の患者の少なくとも30~40%は難病を患っているわけではなく、実際はそうした病院で診察を受ける必要は無いのだ。

また、医療保険の都市間精算システムが整備されていないことも京津冀地域医療の大きな課題だ。燕达国際病院(河北省燕郊)は民営三級甲総合病院で、北京市の中心からわずか30キロの距離にある。ところが同院の病床の空室率は実に70 %に達する。原因は居住する都市以外の病院で診察を受けると医療保険の精算手続きが複雑になり、また時間がかかることにある。

燕达病院副院長の周怀龙氏は「北京の患者がここに来て診察を受ける場合、まず北京市衛生局の承認をもらうため何度も往復する必要がある。診察時は患者がまず現金で立て替えた後、費用精算の書類を持って帰り北京で精算することになる。請求しても北京市が燕达のような民間病院の検査報告書を認めないケースもある」と語る。

迫られる対策
関係者の提案によれば、首都医療機能の明確な位置付けを定め、現在北京に集中している医療資源を周辺省都市へ効率的に配置することで、河北省を始めとする周辺省都市の医療衛生サービスレベルが向上するとのことだ。また分級診療の推進、医療保険の省をまたいでの利用などの改善措置を通じて、医療サービス体系を整備し、北京が抱えている医療問題を緩和させることが出来るという。

具体的にはまず第一に全国的に医療機関の位置を測定し、それに基づいて首都に集中する医療機能を分けて配置することである。方来英氏(北京市衛生計生委主任)の提案では、全国を区域分けし、区域ごとに国家級医療施設を設置することにより、衛生資源をバランス良く配置すると共に首都にかかる圧力を緩和することが出来るという。北京病院の主任医師であり、中国医師協会・養生専門委員会副会長の郑志坚氏は「北京は医学の中心であっても医療の中心になる必要はない。全国の人民が北京で受診することを目指すのは、医療コスト・都市に掛かる圧力などの観点から不合理である」と指摘し、「河北省の立地的な利点を活用し、老年病治療機関を建設し北京の患者を迎え入れるならば、現地医療レベルの向上と経済発展の推進にも繋がる」と続ける。

第二に地域間の協力強化が挙げられる。杨新建氏は「国家関係部門と北京市内の医療衛生機関が協力すれば、河北省において①共同病院の建設、②北京市医療機関の分院の設置、③移転可能な病院の移転、④複数の医師による出張診察、⑤人材派遣による育成など様々なかたちで医療資源を効果的に配置し、医療サービスレベル向上を図り、患者の流れを分散させることが可能になる」と述べる。

第三に必要なのは分級診療の推進・診察時の秩序改善である。方来英氏は「医療保険政策の整備により患者の流れを管理することは、北京における診察秩序の乱れと三級病院にかかる負担緩和に有効だ」と言う。さらに彼は「完全な等級診察制度を作り、初診時はまず社区病院で受診し、解決出来ない場合のみ二級・三級の病院に転院させるようにコントロールするならば、三級病院の普通外来の受診量を大幅に減らすことが出来る。英米を始めとする先進国では医療保険政策の規定で、家庭医に診察してもらってから病院に転院する場合には医療保険で精算できるように定められているが、我が国も同様の政策が可能になれば患者の流れを効果的に管理出来る」と結んでいる。

原文:健康報ネット 2014年5月19日掲載記事より

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