【医療衛生情報】中国の救急車「前払いしなければ発車せず」。再考の必要性は?

【医療衛生情報】中国の救急車「前払いしなければ発車せず」。再考の必要性は?

 2013年12月23日の夕方、譚さんという女性の14ヶ月になる赤ちゃんが突然病気にかかった。治療のため湖南省湘郷市人民医院から省児童医院への転院が必要になった。しかし湘郷市人民医院の120救急センターは、先に救急車の費用800元を支払わないと発車することが出来ないと主張した。結局周囲の人の協力により800元を支払うことができ転院出来たが、不幸にも赤ちゃんは亡くなってしまった。湘郷市衛生局の7日の発表によると、現在の調査状況から以上の状況は事実であった。湘郷市人民医院の責任者も、今後各科室が患者の病状により120のスタッフと意志疎通をした上で救急措置を行うかどうかを判断するように、受診の流れを変えていく必要があるとし、協議の結果、当医院が患者の家族に9,800元の補償金を支払っている。

 一方は大切な命を失った親の心の痛み、もう一方は800元は先に受領したものの9,800元を支払うこととなり、救急センターの「前払いしなければ発車せず」 騒動は最終的に双方痛み分けとなった。

前払い

 しかし、もし120救急センターを一方的に悪者扱いし、更には120救急車を無料で誰でも利用できるようにしてしまうと、救命活動にはコストがかかることを無視してしまうことになる。正直、無料の医療提供を実現するのは非常に難しく、「無料医療=終わりない待ち時間が発生」することになり、逆に救急活動が出来なくなるかもしれない。現実では、無料にすることから様々な風変わりなニーズが生まれている。広州の地下鉄を無料にしたことによりお爺ちゃんお婆ちゃんが空港に行き、飛行機の離着陸を見る趣味を育て上げた前例があった。120救急車を無料にした場合、頭痛や発熱のような軽症の患者の利用が増え、救急搬送が本当に必要な患者が救急センターに電話さえ通じないことにならないとも限らない。

 このように分析すると、120救急システムの運営には誰かがコスト回収の仕組みを制定する必要がある。120救急車は使用料を受け取ることにより運営資金とするが現在の規定であり、それであれば、120救急車が使用料を受け取ることは法律違反ではない。仮に120救急車を先に出動させたが最終的に費用の回収が出来ない場合、誰が支払うべきか?120救急スタッフの職務上の過失になってしまうのであれば、それが「前払いしなければ発車せず」の機械的な原因となるかもしれない。

再考の必要性は?

 救急資源が不足する可能性を否定できないのであれば、その資源を濫用されず、最も必要なところに使うためには、ある程度の規定の設定が必要になる。例えば、アメリカとカナダの救急車には価格提示がある。一つわかりやすい例を挙げると、93歳のアメリカ人が外来手術後に救急車で1マイル(約1.6㎞)離れた医療機関に運ばれ、数週間後に1000ドル程の救急車の請求書が届いた。救急車使用の必要性が無いとの理由で保険会社も支払いを拒否している。ぱっと見ると、こんなに高額の請求書は人情に背くと思われるが、必要な課金制度の設定により、救急資源を効率よく配置することが可能になり、頭痛や発熱の患者が救急資源を占拠することも発生しない。

 適切と認定された救急資源の利用が医療保険でカバーができ、非適切な利用の場合自己負担になるという規定があれば、救急資源の濫用を防止し、さらに救急車が「前払いしなければ発車せず」という誤った道を突き進むこともなくなるであろう。

原文:健康報ネット 2014年4月10日掲載記事より

<関連記事>

このページの先頭へ
お問い合わせはこちらから >>