【医療衛生情報】中国・医療機関等級の仕組み②

【医療衛生情報】中国・医療機関等級の仕組み②

 前回は、中国及び世界の医療機関分類に関してお届けした。今回は、中国公立医療機関の等級評価についてどのように法令で定められているかを見ていきたい。

【病院等級制度と評価基準の変遷】

・ 前回の記事で触れたように、中国公立病院の等級制度はもともと、病院ごとに機能や役割を割り振ることによって、限られた資源を計画的に配分し、必要な医療を効率よく提供しようという考え方に沿って作られたものだった。そのため、等級によってその病院を管轄する政府機関(国・省・市レベルなど)が異なるなど、等級は固定的に運用されていた。

・ その後、病院の等級制度や評価基準は中国の経済改革とともに変化してきた。安全性やサービス等の質を評価基準として等級の見直しを行い、医療の品質向上に向けたインセンティブにしようという動きである。現在、病院等級の有効期間は5年間とされている。また、前回の記事で触れたような国際基準の導入も試行されている。

・ 具体的には、1989年に中国衛生部(現中国国家衛生・計画生育委員会)が「病院分級管理標準」「綜合病院分級管理標準(試行草案)」を発表して以来、数回の改訂が行われてきた。しかし、等級が変動することによって病院の設備や人材への投資方針が変わったり、周辺地域への影響も少なくないため、制度を一気に変えるのは難しいようだ。これまでの等級変動の動きを見ると、二級から三級に昇格しようという動きが多いようで、そのためには基本設備やベッド数など一定の規模が必要となる。そのためか、三級から二級に格下げされることは今のところほとんどないが、警告の手段として三級甲等から乙等に格下げされることはよくある。また、二級から一級に格下げされることも珍しくない。なお、三級の下位病院と二級の上位病院とでは格段に差があり、病院の規模、設備、技術が明らかに違う。

中国病院の仕組み

【病院の評価基準】

・ 現在、一般病院の評価は2011年に中国衛生部が発表した以下の最新基準を使用している。この細則により、「三級特等」の設定は無くなっている。
 『二級総合病院評価・審査の標準(2012年バージョン)実施細則』
 『三級総合病院評価・審査の標準(2011年バージョン)実施細則』(※専門病院の細則は含まない。)

・ 『病院評価・審査暫定施行弁法(中国語:医院评审暂行办法)』によると、「各級各類の病院に対する評価審査の基準は、衛生部(現中国国家衛生・計画生育委員会)が統一して制定する」とある。その下位にある省級衛生行政部門が、各省の現状を踏まえ、適切に基準を調整し、中国国家衛生・計画生育委員会に届け出る仕組みであり、病院の等級ごとに、評価の基準が毎年発表されている。

・ 一般公開されている『二級総合病院評価・審査の標準(2012年バージョン)実施細則』と『三級総合病院評価・審査の標準(2011年バージョン)実施細則』によると、中国の一般病院(軍関係を除く)は下記のような方法で評定されているようだ。

三級総合病院

評価項目:以下の計7大章、73小章、378条からなる。
   第1章:公益性が守られているか
   第2章:病院サービス
   第3章:患者の安全
   第4章:医療クオリティー安全管理と継続的改善
   第5章:介護管理とクオリティー改善
   第6章:病院管理
   第7章:日常統計評価 (評定後の追跡評価として第6章までと別設置)

評価区分:優秀/良好/合格/不合格
       (※上記評価区分は非公開で、最終的な等級のみが公開されている)

等級区分:甲等、乙等(※丙等の記載は無い)

中国病院の等級区分

 ※各章で細分化された項目の難易度は、上記のように低い順からC、B、Aと定められ、それぞれ一定の要求を満たすことで、甲等または乙等が付与される。ただし、核心条項はクリアしなければならない。不合格の場合は、3~6ヶ月の整備期間が設けられ、再度チェックを受ける。再度不合格の場合は、ランクが下げられるかランクが取り消されることになる。

二級総合病院

評価項目:
   第1章:病院の機能、役割
   第2章:病院サービス
   第3章:患者の安全
   第4章:医療クオリティー安全管理と継続的改善
   第5章:介護管理とクオリティー改善
   第6章:病院管理
   第7章:日常統計評価 (評定後の追跡評価として第6章までと別設置)
     計7大章、69小章、357条となる。

評価区分:優秀/良好/合格/不合格
       (※上記評価区分は非公開で、最終的な等級のみが公開されている)

等級区分:甲等、乙等

中国病院の等級区分

 なお、EAJでも病院紹介時に上記病院等級を参考にしているが、それだけにとどまらず日本人利用者の利便性の観点から、実際にスタッフが訪問調査を行うなどしてEAJ独自の基準で医療機関を評価している。

次回は、病院等級と中国企業における人事管理との関係などについてお届けする。


参考資料:
・ 『二級総合病院評価・審査の標準(2012年バージョン)実施細則』(中国語:二级综合医院评审标准(2012年版)实施细则)
・ 『三級総合病院評価・審査の標準(2011年バージョン)実施細則』(中国語:三级综合医院评审标准(2011年版)实施细则)
・ 中国国家衛生・計画生育委員会 HP:http://www.moh.gov.cn/zhuzhan/index.shtml
・ 北京市衛生局、中国国家衛生・計画生育委員会医療服務監管司より電話インタビュー

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